再会に感謝を!

皆さま、こんにちは!ソプラノ 倉本絵里です!
9月30日にミカエラにさようならを告げて、その翌日には完全に頭をこちらにシフトチェンジ、10月10〜13日のG.P.と本番を務めてまいりました。

文化庁
令和5年度
文化芸術による子供育成推進事業
舞台芸術等総合支援事業(学校巡回公演)

ミラマーレ・オペラ
オペラ《てかがみ》 武田カヨ



このブログを昔からご覧くださっている方にとってはとても耳馴染みのあるオペラ名かと思いますが、初めて目にする方も多いと思いますので少し説明を。

オペラ《てかがみ》は池辺晋一郎さん作曲・平石耕一さん台本、2001年の新潟県を舞台にした二幕から成る作品。
1945年8月と2001年8月1日を行ったり来たりしながら、戦争の悲惨さと生きていくことの尊さ、過去を忘れることなく明日を新しい世代に繋げ、力強く未来を切り拓き続けることの大切さを伝えます。
学校巡回事業には平成27年度から毎年採択、今年度は9年目となりこれまでに日本各地の小中学校で公演を重ねています。
また、歌唱に加え小編成ながら迫力あるオーケストラ演奏、ホールでの公演にも劣らない舞台セット・照明・映像・音響・ヘアメイク・衣装を用いることでなかなかオペラに触れる機会のない子どもたちにも『総合芸術 オペラ』を体験してもらえるコンテンツとなっています。

作品としては2001年の新潟県での初演以来、石川県、神奈川県、東京都で全幕上演を続けるとても歴史のあるオペラです。また、2020年および21年の東京都での公演は岩田達宗氏の新演出による公演でした。



さて。
ここまでは《てかがみ》の説明。
ここからは【私の《てかがみ》】のお話しを。

私はロンドン留学から戻った翌年の2015年、ミラマーレ・オペラ代表であり私の母校・昭和音楽大学で教鞭をとっていらした声楽家の松山郁雄さんと新国立劇場オペラ研修所でお世話になった演出の三浦安浩先生からお声がけいただき【武田亮子(主役の武田勇一の娘/小学校教諭/2001年8月1日に長岡市でアメリカ人で同じく学校教諭のジョン・ターナーとの結婚式の真っ最中)】としてキャスティングいただき初年度の学校巡回公演に参加いたしました。
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参加して三年目となる2017年は故郷 北海道が巡回地域に含まれており、祖父母にオペラ歌手としての孫の姿を見せることが叶いました。また、稽古ピアニストそしてオーケストラのピアノを担当している主人とも東北で共演することができました。
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次に私が《てかがみ》に巡り会ったのは2020年。
先に述べたとおり東京で新演出・全幕上演のためのオーディションがあると知り【武田カヨ(武田勇一の母/亮子の祖母/1945年8月1日の長岡大空襲で命を落とす】にチャレンジし合格、カヨさんデビューを果たしました。FullSizeRender


そして2023年10月。
学校巡回公演でも【武田カヨ】としてデビューしました。
私にカヨさんとの再会のチャンスをくださった代表の松山さん、演出の三浦先生そして指揮の樋本英一先生に深謝いたします。
亮子の時とは違って直接的に子どもたちと絡むシーンはありませんが、カヨさんの想いが時を超えて今を生きる彼らに届きますように、と心を込めて歌わせていただきました。
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有り難いことに今回も主人と共演させていただきました。
カヨさんは私の声には少し重たい役で(それでも2020年デビュー時に比べればふくよかに表現できるようになったと感じています)、毎日まいにち挑戦調整の連続。マエストロとは別に常に私の歌を聴いて細かくアドヴァイスをしてくれた主人には頭が上がりません。
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私の出番は10月13日で終了しましたがカンパニーは第二クールに突入、本日15日〜20日にかけてG.P.と本番4回を控えています。
子どもたちの心に平和の尊さ・生きることの力強さ・互いを尊重し認め合うことの大切さが届きますように!!


最後に。
公演は全て学校の体育館で行われ、カンパニーメンバーは歌唱のみならず舞台の仕込・バラシ・そのための搬入・搬出(舞台セット組み立て・照明はじめ技術部に必要な機材のセッティング・体育館ステージ内に楽屋を作る→終演後はそれらを全て撤去して次の公演場所に向けてトラックに荷物を詰め込む)、体育館の原状回復までを行います。
メンバー全員の安全と健康を心から祈ります。



長くなりました!
思い出シェアはまた次の機会に。
ではまた😘



















思い出、あれこれ!

《カルメン》の思い出をシェア〜!お楽しみいただけたら嬉しいです!


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☆鏡前☆
水分・タンパク質・炭水化物そしてその他、の図。
G.P.後にはお気に入りのつばみちゃん手ぬぐいを被せて退館していたところ、ダンサーの高田さんに「倉本さんはヤクルトファンですか?私は阪神ファンなんです。手ぬぐいを見て『あ!』となったんです〜」とお声がけいただきました。
ヤクルトファンというよりもつばみちゃんのファンなんです、と正直にお伝えしました!


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☆サザエさんからミカエラへ☆
ミカエラのあの長いおさげ髪はかつらではなく、つけ毛で仕上げていただいたものです。
ミカエラのオファーを頂戴したのが2月のフィガロが終わってバッサリ髪を切った、まさにちょうどそのあとのタイミングでしたので地毛では対応できず。。。
なぜカーラーをこんなに巻いているのかと言いますと、有難いことに私の髪の毛は母から遺伝なのか、超健康・キューティクル満ち満ちで、何もしない状態でヘアアレンジをするとピョンピョンと溜めたピンからはみ出てきてしまうからです。
パーマやデジタルパーマも人生で何度かチャレンジしましたがかかりづらくて美容師さん泣かせの髪質です。


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☆ミカエラの前とうしろ☆
メイク部さんが『前髪なし・おさげ髪はサイドではなく後ろ』という要望をこんなに素敵に叶えてくださいました。
(後ろのアレンジを見やすくするために画質を調整しています)
前髪があるのは可愛くて憧れるのですが、おでこが痒くなってしまうんです。
おかげさまでおでこは風通し良く、歌うことだけに集中することができました!


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☆コセフィルオペラバンドの皆さん☆
今回の《カルメン》は指揮者なし、スペシャル編成による演奏。バンドリーダーは主人の巨瀨励起でした。

プレイヤー全員が素晴らしい閃きと煌めきを持ち、驚くべき結束力による最高のサウンドで歌手たちに寄り添い、会場の空気を振動させてくださいました。

第三幕ミカエラのアリア歌っている間ずっと体の周り360度がバンドの音に包まれていて、音のうねり・呼吸・向かう方向全てを共有してくれる絶対的な安心と信頼を感じていました。
この感覚・この何にも代え難い喜びは絶対に忘れたくないと思います。
Bravissimi, tutti!


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☆全身写真(主人の隠し撮り)☆
可愛くて大好きだったミカエラブルーのワンピース。本番前のバタバタと緊張で全身写真を撮ってもらう余裕がなく、これが唯一の全身写真です。苦笑。

第三幕開演前、緞帳が下りている間に次に来るアリアのイメトレをしている私。
間奏曲では人生で初めてお客様の前で着替える、ということをやりました。
罪を犯し、カルメンや盗賊団と逃げたホセ。村に一人残ったミカエラは悩み、苦しんでいますが、彼の母の(神の)意思を伝えるためホセの服を身に纏って暗く険しい場所へたった一人で向かいます。

このシーン、私はとっても好きでした。
着替えが好き、ということではなくて。笑。
舞台下手奥にホセの母(神)を表現するダンサーの高田さん、その視線の先・舞台中央に疲れ果てたホセの青栁さん、そしてその延長線上、上手の椅子に傷ついたミカエラ。
母(神)の意思がホセとミカエラを全く別の場所にいながらも繋いでいる、不思議な空間。
美しい間奏曲に乗せて神によって定められた運命を生きていくしかないミカエラの苦悩と決意を客席に伝えられていたでしょうか?


☆写真がない!☆
男装姿の写真が一枚も手元にありません。そのことに本番が終わった翌日に気がつきました…。

終演後にたくさんのお客様から『男装、本当に素敵でした!』とお声がけいただいたくらい(なんならワンピース姿よりも褒められた)格好良く仕上がった男装だったのですが。

今回の【濃縮版上演】では第三幕の間奏曲から次のミカエラの出番のアリアまで、女声三重唱(カルタの歌)しかありませんでした。
というわけで。

舞台上で半分着替える

上手舞台袖の早替え小屋(舞台袖に用意してある、楽屋に戻らずに着替えができるスペース)に走り込む

ズボン・ワイシャツ・ブラウス・ドロワーズを脱ぐ

ワイシャツとズボンをもう一度着用、サスペンダーとサッシュを装着、ブーツ(編み上げ)を履き、マントを羽織って帽子を被る

登場する下手袖へ移動する

これらを完遂してからアリアを歌い、そのまま第三幕フィナーレ。
第三幕から四幕への間奏曲(アラゴネーズ)でも出番があり、それが終わると次は楽屋に戻ってカーテンコールのために今度はワンピースへの着替えが始まる。

カーテンコールに万が一にも遅れることはあってはならないので『よし!写真を一枚撮ろう!』などという考えには到底至らず、すぐに男装を脱ぎ捨てていました。
ご来場いただけなかった皆さまにお見せできないのが本当に残念です!!


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☆オンリーワンのミカエラクッキー☆

いつも応援してくださるお客様がミカエラのブルーのイメージでオーダーした、世界にたった一つのオリジナルクッキーをプレゼントしてくださいました。
ビックリ!嬉しい!!そして美味しい!!!


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☆ミカエラカラーのお花☆

出演にあたり、私も主人もお祝いやお花などのお気遣いは無用です、とお客様にお願いしております。
お気持ちはとても嬉しいのですが、チケットを購入し大切なお時間使って応援に駆けつけてくださる、それだけで本当に有り難いと感じているからです。
皆さまご理解くださり、終演後に感想をメールなどでお聞かせくださって、それがとてもとても嬉しく励みになっています。

本番翌日、自宅のインターフォンが鳴りました。
主人が出ると、なんとそこには昨夜ご来場賜った主人がお世話になっている合唱団の指揮者の方が!
たまたま我が家の近くでお稽古がおありだったようで、合唱団の皆さまからのお祝いのお花を届けに来てくださいました。
ビックリ!嬉しい!!なんて綺麗なお花!!!
本当に有難うございました。







思い出シェア、これにて終了です。
会場でご覧いただいた皆さま、感想やご意見などありましたらお気軽にコメントをお寄せくださいね!
ではまた😘










【御礼】《カルメン》終演!

皆さま、こんにちは!ソプラノ 倉本絵里です!

IAW主催 オペラ《カルメン》が昨夜無事に幕を下ろしました。
昼公演・夜公演共に多くのお客様にご来場とご高覧を賜りまことに有難うございました。
東京での私のオペラ出演は本当に久しぶりでしたが沢山の方が応援に駆けつけてくださり、心を強く保つことができました。
また、会場にいらっしゃらない方からも激励のメッセージを頂戴し支えられて生きていることの有り難みを心に刻むことができました。

【濃縮版上演】とはいえ一日二回公演、昼公演と夜公演の間は1時間もない極限状態の中、芸術とそこに宿り続けるスピリットをその背中で伝え続けてくださった主演のチョン・ウォルソンさん、演出の三浦安浩さんをはじめとする演出部、小編成とは思えないリッチなサウンドで作品を満たしてくれたコセフィルオペラバンド、共演の歌手たち、衣装・ヘアメイク・照明などの各部スタッフの皆さま、IAW事務局各位、本当にお世話になりました。




今できること、今の年齢の自分ができていなければならないこと、そういったものを舞台で歌っているその瞬間も冷静に考え行動することができた実りあるミカエラデビューとなりました。

さぁ、次のステップへ!
ソプラノ 倉本絵里
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主人でコセフィルオペラバンドのリーダー 巨瀨励起と。

本番前のバタバタと私の緊張のせいで二人で写真を撮れたのはこの一瞬だけでした 苦笑。

いつもながらたくさんの叱咤激励をありがとう!
あなたが作る音楽と共に作品の一部となれたことがとても光栄でした。
心労をかけ続けるパートナーですが、これからもよろしくお願いしますね!!














【出演情報】30/9/2023 evening as Micaëla in《Carmen》  

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ソプラノ 倉本絵里です!
このたびIAW主催オペラ《カルメン》にミカエラ役で出演いたします。
私は一日2回公演のうち17時開演回のみの出演です。

全幕上演ではありませんがおいしいところを取り出してギュギュッとまとめた、謂わば【濃縮版カルメン】ですので、初めてオペラをご覧になる方でも気軽にお出かけいただけると思います。

hitaruオペラプロジェクト《フィガロの結婚》スザンナ役に続き、またもや初役、ミカエラ デビューとなります。
演出は三浦安浩さん、演奏は前回のIAW公演でご好評賜りました主人でピアニストの巨瀨励起率いるコセフィルオペラバンドです。
多くの方に会場で応援いただけますと幸いです。

チケットのご用命はこのブログ または 他SNS等のDMで賜ります。もちろん、どこかでお会いした際に直接お声がけいただければご用意させていただきます。
皆さまからのご連絡を心よりお待ち申し上げております!!
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公演 webページ ↓


IAW主催公演
G.ビゼー作曲 オペラ《カルメン》

日時:2023年9月30日土曜日
13時30分開演
  /17時開演(倉本絵里は17時開演回に出演)

場所:四谷区民ホール
(東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前」2番出口 徒歩5分)

チケット:
P席 10,000円/S席 9,000円/A席 8,000円/B席 7,000円/C席  6,000円



演出:三浦安浩
演奏:コセフィルオペラバンド(リーダー:巨瀬励起(pf))

出演
※ダブルキャストは13時30分回/17時開演回の順に記載※
カルメン  チョン・ウォルソン(田月仙)
ドン・ホセ  上本訓久/青栁素晴
エスカミーリョ  今井俊輔
ミカエラ  城田佐和子/倉本絵里
フラスキータ  白砂智子
メルセデス  高階ちひろ
ダンカイロ  豊島雅弘
レメンダート  野村京右
スニガ  片沼慎
アンサンブル  ムーンライト他


振付・演出助手  三浦奈綾
照明  矢口雅敏
衣装  坂井田操
ヘアメイク  濱野由美子
舞台監督  近藤元
字幕  升水弘之
宣伝美術  指宿玲子
総監督  太田慎一











人間としての!

皆さま、おはようございます!ソプラノ 倉本絵里です!

IAW主催《カルメン》の本番まで今日を含めてあと3日というところまできました。
今日はコセフィル・オペラバンドとのオーケストラ合わせの日です。
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☆一昨日の夕空

厳しすぎる残暑もすぎて(東京は今日明日がまだ少し暑くなるようですが)、朝晩はとても涼しくなり夜のオペラ公演を見たあと、心地よい風に吹かれながら一杯やるにはとても良い季節になりました。
私が出演するのは17時開演回、まだチケットのご用意が可能です。是非ご連絡くださいませ!




さて、ここまで何度か書いておりますとおり今回が私のオペラ《カルメン》そしてミカエラ役のデビューとなります。
初作品・初役はとても緊張しますし、経験豊富・百戦錬磨の共演者の皆さまに囲まれると不安になることも多くあります。

しかし、逆に良いこともあるのですよ。
何にも縛られることなく全ての事柄にシンプルに【疑問を持つ】ことができること、です。

どうしてミカエラはここでこんな風に言うんだろう?
ホセとミカエラの関係はどの程度のボディタッチがある距離感なのだろう?
この言葉にこの音がついて、フレーズの最後にはここに行き着くのはなぜなんだろう?

初役でなくとも【疑問を持つ】ことは常に行わなければならないことですが、分かったつもりになってしまうことも多々あります。

考える・調べる・想像する楽しさが来て、
実現する難しさに苦しんで、
その先にやってくる声と身体と心の一体感に飛び上がるほど嬉しくなる。

それが初役・デビューの良さです。





さて、今回のブログタイトルを〈人間としての!〉にしたのは。
今回挑戦する【ミカエラ】という役を私がどのように考えているのか、文字に起こしていま一度客観的に捉えてみようと思ったからです。

ミカエラ(Micaëla)のその名は大天使ミカエルから来ています。
P.メリメが書いた原作には登場せず、H.メリヤックとL.アレヴィが書いた台本に付け加えられた登場人物。
原作にあまり表れない(と私は思う)清らかさ・崇高さを表現するためのキャラクターであることは間違いないでしょう。
《カルメン》において【神の世界】を担う彼女だけれども、果たして【天使】なのだろうか?
ただ純真で清らかで神を信じることだけを貫く女性なのだろうか?



嫉妬などの暗い感情を持たず、ホセとホセの母を心から愛し、神への祈りのみで生きている純真無垢・清廉潔白・強い心を待ち何にも惑わされない人物。
私はそうではないと思うのです。

ホセがカルメンに魅入られてミカエラや彼の母から離れていくその様子をオペラではホセやカルメンたち盗賊集団の登場するシーンを繋いで物語を進めています。

しかし、それと並行してミカエラが生きる世界(村)での時間も、当たり前ですが、進行しています。
村には優しい人ばかりではないでしょう。婚約者をジプシー女に奪われた哀れな女、選ばれなかった女、あの娘が神の意思に背くようなことをしているからこんなに酷い目にあっているのではないのか?などと陰口を叩く者もきっといたはず。

ミカエラはどこにでも存在するごく普通の人間であり、特別な女性ではありません。
いくら信仰心があったとしても、この状況に少なからず迷ったり怒ったり泣いたり、どうして自分をこんな目に遭わせるのか、と神に対して思ってしまってもおかしくはありません。

現に、一幕ではホセをVous(親しみある敬称のあなた)と呼ぶのに対し、登場しない二幕を過ぎ、次に姿を見せる三幕では呼称はTu(もっと砕けた呼びかけ)に代わり、アリアの中ではcelui que j’aimais jadis(私がかつて愛した男)とホセを表します。

ミカエラもまたホセと同じように、今まで接したことのない世界、ジプシーたちの生き方・愛し方に直接ではないにしろ触れることで、変わったのです。
その変化は村で幸せに暮らしていたミカエラをとても苦しめたと思います。
無知な自分を突きつけられ、新しい価値観に戸惑い、触れたことのない存在に恐怖する。会ったことはないが皆が口を揃えて美しいと讃えるカルメン、ホセに選ばれた女をどこかで羨ましく眩しくさえ思ったかもしれない。
けれどそれは神に背く行為・考えなのではないか、こんな自分を神は守ってくださるのだろうか。

あぁ誰か、私を許して、守ってください。

第三幕の美しいアリアの中で、盗賊や暗い場所での危険から守ってほしい、という言葉の裏側に私はそんな叫びを聞くのです。
彼女の惑い、心からの慟哭、苦しくとも自らに(神から)課せられた使命を果たそうとするミカエラの決意がこれでもかとぶつかり合っていて、咽せ返るように苦しくなります。
(歌は苦しくないように歌っています!)


三幕フィナーレ、予期せぬタイミングでホセと再会したミカエラは彼に彼の母親のことを思い出すように、母親があなたに手を差し伸べている、と言って自分と共に村に帰るように言います。

ここがまた、少しミカエラの人間臭いところであるような気がしています。
というのも。
結論から言うと一悶着あったあとにようやく『あなたの母親はいま死の床に伏していて、それでもあなたに許しを与えずには死なない、と言っているのです』と伝えるのですが。
私からすると、いやいやいや、それを一番初めにホセに伝えたらいいんじゃないの?と思ってしまうのですよね。

どうにかしてホセを彼の意志で村へ帰そうとしていると考えることもできますが。
私にはホセを試しているような、少なからずまだ彼が自分の言葉になら耳を貸すだろう、自分はカルメンに負けてなどいない、という女としてのプライドのようなものも感じてしまいます。
考えすぎ?苦笑

結局は女としてホセに愛されることよりも自分の使命を全うし神の意思を伝えることを選択せざるを得なかったミカエラは、その瞬間に真に強い女性となります。
けれど。
このオペラの第四幕(ミカエラは登場しない)、そしてカルメンが死にホセが捕まったあともきっと、ミカエラは一人心の傷を抱えたまま救いと許しを与えてくれる何かを求めて生きていかなくてはならないのだと思うと、とても切なくなります。何ひとつ悪いことをしていないのに絶望を味わった彼女が心の平安を手に入れることを強く願います。





…あぁ、いつもながら考えをまとめるのも、文章にするのも下手くそで嫌になってしまいます。
要するに何が言いたいのかと言うと、私は今回のミカエラを人間臭く、泥臭く、描いていきたいと思っているということです!

私の挑戦を四谷区民ホールで応援いただけたら嬉しいです!
ではまた😘