近所の沈丁花の蕾がひとつ、またひとつと開き始め、心踊る薫りを楽しんでいます。こんにちは、倉本絵里です。
さて、ひとつ前の記事に当たり前のように『アンダースタディをやっています』とさらっと書きましたが、この言葉は通常の生活では使わないな、伝わらないかも。と思いまして、本日はオペラ公演における、私なりの言葉の解釈を書いておこうと思います。
オペラにおいても違う意見の方がいらっしゃると思いますし、ミュージカルやお芝居などは関わったことがないのでこういう役回りがあるのかも存じ上げません。
また、全てのオペラ公演においてアンダースタディを起用するわけではありません。
インターネットのキーワード検索で【アンダースタディ とは】とやってみると、沢山の見解をのぞき見ることができますが、オペラに関係している方が書いている記事などを見ると『アンダースタディ(または『アンダー』)』と一緒に説明の対象となっている言葉があります。
『カヴァーキャスト(または『カヴァー』)』です。
英語の辞書で調べてみると【アンダースタディ understudy】は名詞として存在しますが【カヴァーキャスト covercast】はないようです。ということは【cover(動詞) + cast(名詞)】という、造語なのでしょうか?
それとも【cover(名詞) + cast(名詞)】?
ちなみに意味は以下のとおり。
understudy:
cover:
名詞としてのcover:
このように並べてみるとどちらも【代役】と捉えることが出来ますね。
しかし私の考えでは、
【アンダースタディ】
❶オペラの役を、稽古場や本公演での本役の方の歌唱や演技から学び、解釈を深める。
❷必要であれば稽古場で本役の方の代わりを務める。
❸本役の方が何らかの理由で本番の舞台に立てなくなった場合、代役を務めることはない。
【カヴァーキャスト】
❶❷は同じ。
❸本番の舞台で代役を務める可能性がある。
重ねて申し上げますがこれは私の解釈です。
とても大きな違いを持っていますよね。契約の種類が違う、とも言えるかと思います。
実際に私がアンダースタディとしてオペラの現場に入るのは今回が初めてです。そして本役として参加するよりも緊張しています。何度も歌っている役なのにかつてないほど緊張しています。
なぜなら。
アンダースタディは決して本役の方々の稽古の邪魔をしてはならないからです。
稽古時間はアンダースタディのものではありません。本役の集中を妨げてはならないのです。
もちろん、チャンスが回ってきた時にはしっかりといい声を出し、自分という歌手を稽古場にいる方に知っていただくことは大切だと思います。しかしそれは自分の役回りをしっかりとこなしてから、と私は考えます。
こんな風に緊張しながら、楽しみながら、東京スカイツリーに見守られてお稽古に向かう最近の私です。
ではまた😘