突然黒く暗くなる空。
始まりは遠い音。
次第に近づくそれと突然の一瞬の明るさ。
近くに遠くに、恐ろしいくらいに美しくて、教室の電気を消して魅入ったあの夏。
飽きずに見続ける私の横には同じように目をキラキラと輝かせる大好きだったあの子。

お盆ですからきっと彼女も帰ってきているでしょうね。
ゲリラ豪雨の雷鳴轟く昼下がりにふと思い出した彼女のことが、今日はなんだか一日中頭から離れません。




私の記憶に残る彼女はお人形さんのように可愛らしい子です。目が大きくて髪は明るく、肌は透き通るように白かった。
大げさかもしれませんがそれは宛ら一週間前に舞台に立っていたオランピアのよう。
あのとき鏡に映る自分を、なんだか見たことがあるように、会ったことがあるように感じていたのは彼女を鏡の中に見ていたんだと、今ははっきりとわかります。


私が演じたオランピアは、持ち主であるスパランツァーニに騙されたコッペリウスの『誰かを壊してやりたい』という怒りと彼の魔力によって人形から人間(のように自由に動ける存在)に変わりました。
ホフマンを愛すること、彼に愛されることよりも自分の空を自由に飛ぶことに喜びを見い出し、もっともっとと欲を出し我儘に踊り続け、そして壊れてしまいました。
バラバラに壊れたオランピアを見せられたスパランツァーニは自ら命を断ちました。

コッペリウスが壊したのはスパランツァーニ。オランピアはきっと不自由なカラダを捨て、どこまでも広がる世界を自由に飛び回れるようになったのだと、私は考えています。



もう会うことは叶わなくても、大好きだったあの子の魂が自由で幸せでありますように。

不思議な一日の終わりに。
ではまた😘