皆さま、こんばんは!ソプラノ倉本絵里です!

3月もはやくも後半。
私は《北国のフィガロ》が終わってから今日まで色々と新しいことにトライするために準備をしたりなんだりかんだり、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしていて、気がついたら近所の小学校の桜が満開になっていました。

さて、そんな日々のなか、いくつかのコンサートにも出かけることができたのでザザッと感想などを書いてみようと思います。




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まずは東京藝術大学のバッハカンタータクラブ 2023年定期演奏会。

こちらは主人でピアニストの巨瀨励起もかつて所属し(どうやら在学時、2年生と3年生の時には部長も務めていたらしいです。10年以上一緒にいますが初耳でした 笑)、いまではカンタータクラブOB会の活動もしています。

そのご縁もあり、また《北国のフィガロ》でご一緒させていただいた川村春貴さん(バジーリオ役)も合唱で参加しているとSNSで知り、主人と出かけてまいりました。

今回参加されていた学生さんの多くは入学後に始まったコロナ禍の影響を受け、学生生活もままならないような厳しい状況だったことと思います。
それを乗り越えて、洗練されしっかりとした知識と技術に裏付けられた、且つ若さ溢れるフレッシュな心地よい響きを聞かせてもらいました。
バッハ、いいですね!



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次はこちら。
チケット発売前から大注目していたバリトン 加耒徹さんのリサイタル!
B→C(ビー トゥー シー、【バッハからコンテンポラリーへ】)という東京オペラシティ コンサートホールが主催するリサイタルシリーズの第250回目として福岡と東京での公演が開催されました。

私は以前から知的かつ大胆な音楽をなさる同世代のスーパースター 加耒さんのファンですが、今回はなんといっても、リサイタルフライヤーに載っていた『歌う言語は10ヶ国!』というキャッチコピーに一瞬でノックアウト、スザンナを頑張った(チケット購入時は頑張るであろう)自分へのご褒美としていそいそとチケットを購入、3月14日を本当にほんとうに楽しみにしていました。

そして期待以上の本当に素晴らしいリサイタルでした。
プログラミングの秀逸さ、
言葉へのアプローチの正確さと丹念さ、
音楽への深い理解と敬愛、
チャレンジする大胆さ、
どれをとってもどこをとっても【加耒徹ここにあり】といった演奏でした。
M.カーゲル〈バベルの塔〉M. Kagel Der Turm zu Babelからの5曲「ヘブライ語」「ポルトガル語」「ハンガリー語」「オランダ語」「日本語」の後にA. ライマン〈ヴォカリーズ〉A. Reimann Vocaliseを持ってくるところなど、本当に痺れました。
また、H.ホリガー〈ルネア〉H. Holliger Luneaでは、私の乏しい語彙力ではその凄さを表すことができないほどの密度の濃い時間、テンションの持続する空間、そして計算し尽くされた極上の音を聞かせていただきました。

2月中にどっぷりとオペラに浸かっていた私ですが、やはりオペラも歌曲もいかに書いてある言葉と音の裏にあるサブテキストを読み取って表出するか、そういう点では全く変わらないな、でもオペラを歌う時とは全然違うアプローチが必要なのだな、と確信しました。
歌曲、いいですね!
じっくり取り組んでみたいです!!
☆楽しみにし過ぎて気合いが入り過ぎたコンサート当日の私がこちら↓
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そして本日3月25日はこちら。
横浜みなとみらいホールが主催の【無人オーケストラコンサート】へ。

その名の通り、舞台上には指揮者もオーケストラもおらず、スピーカーがズラリ。
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事前に同ホールで[指揮] 小森康弘[オーケストラ]横浜シンフォニエッタの演奏を録音、その際に奏者一人につき一本ずつマイクを立てたとのこと。
マイクはその他にも立てられて全部で139本!
録音した音はステージ上とホール内に設置した69台のスピーカーから流します。
スピーカーは楽器の大きさや特性に合わせてその大きさや配置の向きを微調整してあり、生の演奏になるべく近づくように配慮されていました。

面白い取り組みだな、と思います。
私はオーディオ機器には疎いのでその辺りに関しては何も申し上げられないのですが、そこに指揮者や演奏者が存在していなくてもどの辺りのセクションから音が飛んできているのかは明確にわかりましたし、空気が振動する気配も感じました。
ただ、私はやはりそこに生きたプレーヤーがいてその表情やブレスを見たり聴いたりすることが好きだな、とも改めて思いました。
ありきたりですが、命を感じられること、これもまたライブの芸術の醍醐味ですね。

実際にステージに上がってそれぞれのスピーカーからどのように音が聞こえるのか、どの場所に立つとどういうサウンドが聞こえてくるのかを体験する時間もあって、興味深く、遠慮なく歩き回りましたよ!
ちなみに、この録音には主人でピアニストの巨瀨励起も参加していたため、ピアノのスピーカーがある場所から指揮台を見たりして、あぁ、彼にはこういう世界が見えているのかぁ、などと感じたりもできました!

楽しいインプットを重ねながら自分のアウトプットに繋げて行くことは芸術に限らず、必要なことですね。
これからも少しずつ、こういう機会を持てたらいいな、と思います。
ではまた😘

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☆おまけ☆
無人オーケストラコンサートには(たぶん人生で初めて)デニムを履いて出かけました。 
なんだかとても新鮮でした!
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☆主人に隠し撮りされていた私 笑